心を病んだフランス王の遊戯「シャルル六世のタロット」【世界最古のタロットカード】

2020/04/16

中世の小道具 百年戦争と15世紀フランス

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2人の修道士によるシャルル六世の悪魔祓い(フランソワ=オーギュスト・ビアード作)

世界最古のタロットデッキ、通称「シャルル六世のタロット」はフランスのパリにある国立図書館が所蔵しています。

シャルル六世といえば、Web小説「7番目のシャルル 〜狂った王国にうまれて〜」の主人公シャルルの父です。

親子で同名だと紛らわしいですが、もともとヨーロッパの人名はバリエーションが少ないのです。
近世後半ごろから2つの名前を組み合わせて1つにする複合名が馴染んできましたが(マリー=アントワネット、ジャン=ジャックなど)、中世時代はその人の特徴をあらわす二つ名で区別していました。

例えば、14世紀後半から15世紀前半にかけて三代続いたフランス王シャルルはこのような感じです。

  • シャルル五世:賢明王(Le Sage、ル・サージュ)
  • シャルル六世:狂人王(Le Fol、ル・フー)
  • シャルル七世:勝利王(Le Victorieux、ル・ヴィクトリユ)

シャルル六世は生まれつき精神が不安定で、たびたび騒動を起こしています。
精神関係のエピソードがいくつかあり、シャルル六世のタロットカードもそのひとつ。

物語に登場するキャラクタやエピソード、
アイテムが実在する!!


こういう発見は、歴史創作の楽しみのひとつです。
小説でもドラマでもゲームでも!



シャルル六世のタロットとは

もっとも古い記録と、仏パリ国立図書館所蔵のカード

1392年、精神が不安定なシャルル六世をなだめる目的で、遊戯用カードが作られました。

当時の会計簿には「金色や様々な色で描かれた56枚の遊戯札」と書かれています。
このとき、3つのデッキが制作され、画家ジャクマン・グランゴヌールにペルシャ硬貨6枚を支払ったとか。(シャルル6世のタロット参照)

これが、タロットカードに関するもっとも古い記述になります。

なお、仏パリの国立図書館が所蔵するデッキが、シャルル六世のタロットだと言われてましたが、近年は推定1469〜1471年に北イタリアのフェラーラ侯だったエステ家で作られた説が有力です。

現存するデッキが本物ではなかったとしても、会計簿の存在から、当時「シャルル六世のタロット」が作られたのは事実でしょう。


現存する17枚のデッキ

真偽のほどは専門家にお任せするとして、通称「シャルル六世のタロット」と呼ばれているデッキ全17枚をご紹介します。


愚者(Le Mat)






皇帝(L'Empereur)





教皇(Le Pape)





恋人たち(L'Amoureux)





戦車(Le Chariot)





力(Le Force)





隠者(L'Ermite)





正義(La Justice)





吊るされた男(Le Pendu)





死神(La Mort)





節制(Tempérance)





塔(La Maison Dieu)





月(La Lune)





太陽(Le Soleil)





審判(Le Jugement)





世界(Le Monde)





ソードのペイジ




以上、通称「シャルル六世のタロット」現存している17枚です。
デッキの構成は、大アルカナ16枚+小アルカナ1枚になります。


▼参考資料

大アルカナは寓意画のカード22枚。
小アルカナは人物と数字が描かれたカード56枚。トランプの原型。
  • クラブ、ハート、スペード、ダイヤに相当する、ワンド・カップ・ソード・ペンタクルの4種類
  • エース(A)〜10までの数札と、ペイジ(小姓)、ナイト(騎士)、クイーン、キングの各14枚
現在一般的なタロットのフルデッキは、大アルカナ22枚+小アルカナ56枚。合計78枚です。


パリの国立図書館所蔵のカードは、シャルル六世の会計簿の記録にある「金色や様々な色で描かれた56枚の遊戯札」にほぼ当てはまるデザインといえます。

このタロットが本物ではなかったとしても、似たようなカードだったのではないかと。
大きめの絵札は、15世紀ヨーロッパのファッション資料にもなりますね。


豪華な復刻レプリカ「ゴールデン・タロット・オブ・ルネッサンス」


この「シャルル六世のタロット」をベースにしたタロットカードが市販されています。

足りないカードは、当時のフレスコ画を参考にした絵柄ですべて補足。
フルデッキ全78枚を取り揃えたレプリカです。

「シャルル六世のタロット」はパリ国立図書館の所蔵品です。
所蔵品であれ、どこかにあるかもしれない本物であれ、個人が手に入れることはほぼ不可能な代物です。仮に、商業ルートに流れたとしても超プレミア価格は必須でしょう。

こちらのレプリカなら、手軽にフルデッキが揃います。
通常のタロット占いにも使えますし、優雅な気分で楽しめそうです。







小説の小道具とエピソード


きっかけは、冒頭のとおり。

物語に登場するキャラクタやエピソード、アイテムが実在する。
こういう発見は、歴史創作の楽しみのひとつです。

創作好き(書き手)としましては、さらに突っ込んで「実在するタロットを、小説の小道具として使ってみたい!

そんな思いに駆られて、タロット占いエピソードが誕生しました。

第五章《王太子の宮廷生活》編の締めくくり、「66 狂人王のタロット占い」と「67 王太子の運命」の二カ所です。

主人公の父・狂人王シャルル六世は精神を病み、息子を認識できずに小姓(ペイジ)だと思い込みながら、タロット占いで「小姓シャルルの将来」を予言します。

筆者の創作エピソードですが、「こういうシーンが本当にあったとしてもおかしくない」とも思うのです。

  • 現代と過去
  • 現実と空想
  • あの世とこの世

異なる世界観がリンクする物語が好きです。
当時を生きた人々と歴史に敬意を払いながら、同時に、自由に想像力を働かせた物語を書きたいですね。







関連Web小説(外部サイト)『7番目のシャルル ~狂った王国にうまれて~』掲載先リンク集
[あらすじ]
15世紀フランス、英仏・百年戦争。火刑の乙女は聖人となり、目立たない王は歴史の闇に葬られた。
一般的には「恩人を見捨てた非情な王」と嫌われ、歴史家は「建国以来、戦乱の絶えなかった王国にはじめて平和と秩序をもたらした名君」と評価しているが、500年後にめざめた王は数奇な人生について語り始めた。
「あの子は聖女ではないよ。私はジャンヌを聖女とは認めない。絶対に」
歴史に残された記述と、筆者が受け継いだ記憶をもとに脚色したフィクションです。

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