歴史が好きな人は、資料や年表の空白部分を想像したことがあると思います。
史実の裏側、暗躍する黒幕、もし…と分岐したifルート、関係者の感情や心理分析など、空想(想像力・創造力)は歴史創作の出発点です。
もうひとつ、フィクションでは絶対に不可能で、とてもマニアックな楽しみ方があります。
私は西洋占星術のホロスコープ(星の配置図)を読めるので、歴史上の人物の生年月日からネイタルチャート(出生図)を作り、性格や相性などをリーディングします。
一般的な星占いでは太陽星座を占います。
西洋占星術では太陽・月・水星〜冥王星まで太陽系10天体の配置図から膨大なデータを導きだします。
例えば、太陽星座は、オフィシャルな人格。
月星座は、プライベートな人格。
水星は、その人の知性とコミュ力。
金星は、好きな女性のタイプ、喜ぶこと。
火星は、好きな男性のタイプ、怒り方…など。
Web小説「7番目のシャルル 〜狂った王国にうまれて〜」では、ホロスコープのリーディング結果をもとにキャラクター設定しています。
例えば、英仏・百年戦争を終結させた勝利王シャルル七世、腹心のリッシュモン元帥、幼なじみで従兄のデュノワ伯(ついでにシャルル・ドルレアンも)は、太陽と月と冥王星の配置からどう見ても「運命的な主従」だと考えられます。
専門用語でいうと、タイトな角度で複合アスペクト「グランドクロス」を形成します。ひとりでは成し遂げられない。生きるか死ぬか十字架を背負わされている。
個人チャートも主従チャート(相性)もめちゃくちゃ面白いです。
個人チャートも主従チャート(相性)もめちゃくちゃ面白いです。
このページでは、シャルル七世のホロスコープ・リーディングをご紹介します。
勝利王シャルル七世のホロスコープ、ネイタルチャート(出生図)
下図は、シャルル七世の誕生日をもとに作成したネイタルチャート(出生図)です。
出生時間が不明のため、1日の真ん中=正午で計算しています。
1403年2月22日、パリ生まれ。現地時間と北緯東経まで調整したチャート |
1403年2月22日、フランス王国のパリにあるサンポール館で誕生。
ゲームのステータス画面みたいですね。
実際、ネイタルチャートは誕生した瞬間に授かったステータス(初期パラメーター)を示しています。一般的な星占いが当てはまらない人は、ホロスコープのチャートでは太陽以外の天体が強く影響しているケースも見られます。
▼ホロスコープ・チャート作成
太陽星座と月星座はメインの人格をあらわす
シャルル七世の太陽星座は魚座、月星座はさそり座です。
一般的な星占いは、太陽星座だけで占います。
一般的な星占いは、太陽星座だけで占います。
シャルル七世の太陽星座は魚座
ジャンヌ・ダルクは、シャルル七世を「優しい王太子様」「優しい王様」と呼んでいたそうで、ホロスコープのチャート上でもその通りの印象です。
繊細で共感能力が高く、感傷的で涙もろい。
基本的にぼーっとしているタイプです。
優しいけれど、良くも悪くもまわりから影響を受けやすく、情に流されやすい。
シャルル七世の月星座はさそり座
プライベートでは、精神的な繋がりを重視します。
深い愛情が、ときどき重い情念に変わることもありそう。
執念深く、恩義と恨みを絶対に忘れないタイプ。
月星座は、生まれ育った家庭環境や子供時代、母親をあらわします。
月がノーアスペクト(他の天体とリンクしていない)なので、孤独で不安定な幼少期を送っていると読めます。
家族関係、特に母に関係するドロ沼に巻き込まれることを暗示しているようにも。
誕生時間が夜明け前なら、複合アスペクトYOD=神の手
1403年2月22日未明に生まれていた場合、月と木星・天王星と冥王星で複合アスペクト「YOD」ができます。
アスペクトは天体同士の角度のことです。
YODの別名は「神の手」。
西洋占星術では、もっともハードなアスペクトとして恐れられています。
この象意を持つ人は、まるで神の掌で転がされるような……とても困難な運命を歩む代わりに、運命(神意)を受け入れると神がかり的な力を発揮すると言われています。
百年戦争で奇跡を起こした人物と聞いたら、ジャンヌ・ダルクを思い浮かべます。
ジャンヌのカリスマに埋もれがちですが、シャルル七世のチャートにも奇跡を暗示する要素があるようです。
YODは、自分の意志ではどうすることもできない。
運命によって拘束される、調教されるという意味があります。
太陽星座と月星座が水サイン=繊細な情緒
月星座は、プライベートで見せている人格。
太陽と月が同じ星座の人は、表と裏がない。
仕事モードとおうちモードのギャップがないタイプです。
アスペクトは天体同士の角度のこと。 特定の角度でリンクすると相互作用でスキルアップ |
シャルル7世は太陽星座が魚座で、月星座が蠍座。
エレメント(火土風水)はどちらも「水サイン」です。
ウェットで繊細な情緒の持ち主です。ちょっと泣き虫かもしれない。
太陽星座が発動する「仕事=王様モード」のときは、柔和で穏やかで優しい。
月星座が発動するプライベートでも相変わらず優しいですが、心を許しているパートナーにはべったりしそう。ちょっと頑固な一面もあります。
15世紀当時は、強くて威厳ある王が好まれ、優しい性格は評価されない時代でした。敵や家臣に舐められてしまいますから。
王様やるの、大変だったでしょうね。
水星は知性とコミュ力、金星と火星は恋愛観
シャルル七世の太陽と月、つまりメインとなる人格は「水サイン」ばかり。
周りに流されやすい情緒的な人ですが、その一方で、チャート全体で一番多いのは「風サイン」です。
風サインが多い=頭の回転が早い
風サインは、コミュ力と知性を象徴します。
つまり、シャルル七世は見た目がぼんやりしているのに、じつは頭の回転が早い。
情緒(水サイン)と、人間関係(風サイン)を大切にしています。
その個性が悪くあらわれるると、悩みすぎ・考えすぎで結論を出せなくなります。
おそらく、王太子時代は共感能力の高さが災いして人間関係のジレンマに悩んでいる。いろいろ考えているけど、熟考しすぎて身動きが取れないタイプ。
そんなところが「優柔不断」と評価されたのではないでしょうか。
水星は水瓶座、自由でリベラルな思考
水星が水瓶座なので、自由でリベラルな思考回路の人です。
思考も人間関係も常識にとらわれないタイプですから、身分に関係なく、誰とでも気さくにコミュニケーションします。
落ち目とはいえ、仮にもフランス王太子のシャルルが農民の娘であるジャンヌ・ダルクに面会したのもよくわかります。
シャルル七世は非情な王か?
一般的なシャルル七世評でよく言われる「優柔不断(悩みがち)」と「狡猾(知的、賢い)」な性格は、星の配置からもとても納得できます。
ですが、非情な王という評価はどうでしょう?
水星が水瓶座だと、現実主義で合理的な発想をしますが…
非情な謀略・厳罰を思いついても、メイン人格が水サインの人は優しい情緒のせいで実行できないと思います。
やむをえず、厳しい処罰を命令・実行したら。
おそらく共感能力が高すぎる王は、自分自身の心も傷つき、死ぬまでトラウマを引きずってしまいそう。
当時、第三者がシャルル七世と対面して「非情で狡猾な王」と感じたとしたら。
この人は、強くて威厳ある王になるために、どれだけ感情を抑圧して王を演じていたのだろうかと。
歴史創作をたしなむ人間として、このようなギャップのある人物はとてもおいしいです。
本人はたまったものではありませんが。
シャルル七世は情熱的なモテモテ王
意外なことに(?)シャルル七世は恋愛では不自由しないタイプ。
チャートを見る限りでは、めちゃくちゃモテそうです。
金星も火星も「火サイン」なので、恋愛モードでは情熱的で積極的。
とはいえ、タブーを犯したりトラブルを招く要素は見られず、健全に愛を育みます。
恋愛観も性欲も、健全にエッチな人です。
それもそのはず。
シャルル七世は、名前が分かっているだけで子供が17人もいます。
なんと、子だくさん王家で有名な神聖ローマ帝国ハプスブルク家のマリア・テレジアさんちより多い!
王の後継者問題は王国の存亡に関わりますから、子宝に恵まれたのは幸運でした。
とはいえ、王妃マリー・ダンジューは19歳〜42歳までしょっちゅう妊娠している状態で大変だったと思います。王より王妃の方が長生きしますけどね。
ホロスコープリーディングはすべてを暴く
ひとまず、今回はここまで。
太陽と月、水星と金星と火星しか触れていないのに(ホロスコープリーディングは10天体使う)、それなりの文章量になってしまいました。
読みやすいフォーマットを模索中です。
「コペルニクス:神との対話」より。星読みは奥が深い。 |
このページの冒頭で触れたように、シャルル七世を取り巻く重臣たちのチャートもかなり興味を引かれます。
特に、シャルル七世とリッシュモン主従は「書いてもいいのだろうか」と躊躇するほどです。あくまでも星の配置上の話ですが、心も体も一つになりたい欲望を秘めているとはどういう意味なの……そういう意味なの……?
本格的なホロスコープ・リーディングは、セクシャルな性癖や裏の顔、その人の背景にいる神々や悪魔とのつながりまで露わになると言われています。
昔のことですし、何を書いても自由ですが、過去に実在した人物への敬意を忘れてはならないと私は考えています。敵味方に関係なく、過剰に持ち上げたり貶めたりしたくない。
Web小説は全年齢対象ですが、主従が執着する理由はぜひ盛り込みたいですね。
惜しむらくは、ジャンヌ・ダルクの正確な生年月日がわからないこと。
関係者のチャートを見比べながら、「ここにジャンヌの星があったらパワフルなのに」と思う配置がいくつかあります。
ジャンヌには、不遇で優柔不断な王太子を勝利王に変貌させる役割があったはずですから。
惜しむらくは、ジャンヌ・ダルクの正確な生年月日がわからないこと。
関係者のチャートを見比べながら、「ここにジャンヌの星があったらパワフルなのに」と思う配置がいくつかあります。
ジャンヌには、不遇で優柔不断な王太子を勝利王に変貌させる役割があったはずですから。
関連Web小説(外部サイト)『7番目のシャルル ~狂った王国にうまれて~』掲載先リンク集
[あらすじ]
15世紀フランス、英仏・百年戦争。火刑の乙女は聖人となり、目立たない王は歴史の闇に葬られた。
一般的には「恩人を見捨てた非情な王」と嫌われ、歴史家は「建国以来、戦乱の絶えなかった王国にはじめて平和と秩序をもたらした名君」と評価しているが、500年後にめざめた王は数奇な人生について語り始めた。
「あの子は聖女ではないよ。私はジャンヌを聖女とは認めない。絶対に」
歴史に残された記述と、筆者が受け継いだ記憶をもとに脚色したフィクションです。
[あらすじ]
15世紀フランス、英仏・百年戦争。火刑の乙女は聖人となり、目立たない王は歴史の闇に葬られた。
一般的には「恩人を見捨てた非情な王」と嫌われ、歴史家は「建国以来、戦乱の絶えなかった王国にはじめて平和と秩序をもたらした名君」と評価しているが、500年後にめざめた王は数奇な人生について語り始めた。
「あの子は聖女ではないよ。私はジャンヌを聖女とは認めない。絶対に」
歴史に残された記述と、筆者が受け継いだ記憶をもとに脚色したフィクションです。
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