フォシエのシャルルVIIサブレと、ランスのノートルダム大聖堂【フランス最古のビスケットメーカー】

2020/04/11

フランスの食べ物 百年戦争と15世紀フランス

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フランス最古のビスケットメーカー・フォシエのお菓子をきっかけに、シャルル七世とランスのノートルダム大聖堂の関係について

ちなみに、2019年4月に焼失したノートルダム大聖堂はパリ所在の方です。
ランスの大聖堂はいまも健在ですよ。




2017年4月、フランス最古のビスケットメーカーMAISON FOSSIERが製造している「CHARLES Ⅶ」というお菓子をいただきました。

Maison(メゾン)は家という意味ですが、ホームメードという意味でもあります。

パッケージ上部のフランス語に注目してください。
フランス語がわからなくても、なんとなくわかると思います。


CHARLES Ⅶ
AU CHOCOLAT

シャルルVII
オ・ショコラ


輸入元による日本語表記のラベルには「フォシエ シャルルVII チョコサブレ」と書いてありました。
友人いわく、成城石井の輸入菓子コーナーで見つけたそうです。


フランス最古のビスケットメーカー、FOSSIER(フォシエ)


メーカー所在地は、フランス北東部シャンパーニュ地方の都市ランス。
ランスといえば、歴代フランス王が戴冠式(聖別式ともいう)をおこなっていたノートルダム大聖堂が有名です。

なお、シャンパーニュとは、
古フランス語で「田舎」という意味だとか。



パリとランスのノートルダム大聖堂の違い

王太子(シャルル七世)が19歳のとき、父・狂人王シャルル六世が他界しました。
事実上王位を継承しているにも関わらず、いつまでも「王太子」と呼ばれ続けた理由。

それは、ランスがイングランドに奪われていたために、ノートルダム大聖堂で戴冠式をできなかったから。

ランスは、フランス王国の前身、フランク王国の初代国王クロヴィス一世が即位した由緒ある地。フランスの首都であるパリにノートルダム大聖堂がありながら、地方都市ランスの大聖堂が特別視される理由です。

日本人になじみのある例えとしては、天皇と神社の関係。
天皇家(皇室)が皇祖神・天照大御神を祀った伊勢神宮を特別扱いするのと同じ感覚かもしれません。古来より、男系男子のみが継承すると定められているところも似ています。

ランス・ノートルダム大聖堂 (Cathédrale Notre-Dame de Reims)(c)Ludovic Péron

ノートルダムという名の大聖堂はフランス内外にいくつかあります。

パリのノートルダム大聖堂はシンボル的な存在で、2019年4月に火災で焼失したのを覚えている方も多いと思います。

ランスのノートルダム大聖堂は、フランス王家からすれば王位継承になくてはならない唯一無二の存在で、特別な場所です。

ランスの聖堂で聖別の儀式を受け、王家に伝わるレガリア(三種の神器などの宝物)を継承して、晴れてフランス王として内外に認められます。
聖別式とレガリア継承については、また改めてご紹介したいと思います。

ジャンヌ・ダルクの導きで、シャルル七世がランスにたどり着いたのは26歳のときでした。


王の名のお菓子、CHARLES VII(シャルルVII サブレ)

フォシエのシャルル七世サブレを開封してみましょう。
赤いパッケージがチョコレートをサンドしたサブレで、ベージュはサブレ単体。
グリーンは、生地にシャンパンを練りこんでいます。アルコール成分は入っていません。

ランスのあるシャンパーニュ地方はブドウ栽培とシャンパンの生産地で、ランスはシャンパンの集積地です。




パッケージの日本語ラベルから引用します。

14〜15世紀に起きた百年戦争において、ジャンヌダルクとともに戦いヴァロワ朝の王位に就いたシャルル7世にちなんだサブレです。
シャルル7世が即位した場所、フランス・ランス地方にあるノートルダム大聖堂を描いたサブレは、バターが香る素朴な味わいが特徴です。

ランスにゆかりのある有名人や歴代国王がたくさんいらっしゃいます。

フォシエは、数多いる歴代国王(シャルルという名の王だけで10人いる)からシャルル七世を自社製品のブランド名に選びました。

友人からの受け売りですが、「嫌われ者を商品名にはしない」

ジャンヌ・ダルクの悲劇を思えばこそ、恩人を助けられなかったシャルル七世を批判する人も多いですが、地元では愛されている王様なのかもしれません。

シャルル七世を食べてみた

いただいたシャルル七世サブレ、フレーバーは3種類でした。
  • 素朴なバター味(8枚入り)
  • チョコレートをサンドしたもの(4枚入り)
  • 生地にシャンパンを練りこんだもの(6枚入り)



バターが効いているのに、口当たりはサクサク軽い。
ねっとりと口に残る甘ったるさはないのに、意外と食べ応えがあり、1枚でも満足感があります。

シャンパンの風味もしっかり残っています。
フルーティなぶどうの甘さというより、きりっとさっぱりしたシャンパン風味。
アルコールは完全に抜けているので、小さな子供も安心して食べられます。

とはいえ、子供向けスナック菓子のような甘さではありません。
お上品です。王の名を冠しているだけに。

日本では食べたことない個性的なフレーバーですが、もちろん美味しいです。
機会があればぜひご賞味ください。





なんか、数年前と比べるとピンク基調で女子っぽい…
ファンシーなサイトにリニューアルしたなー



消えたシャルル

なお、2019年春以降、成城石井の店頭で見かけなくなりました。
よく似た別名の商品と置き換わっているようです。

製造元のフォシエがシャルル七世サブレをリニューアルして廃盤になったのか。
あるいは、輸入元が別の製品と変えたのか。

シャルルが消えた真相はわかりません。


関連Web小説(外部サイト)『7番目のシャルル ~狂った王国にうまれて~』掲載先リンク集
[あらすじ]
15世紀フランス、英仏・百年戦争。火刑の乙女は聖人となり、目立たない王は歴史の闇に葬られた。
一般的には「恩人を見捨てた非情な王」と嫌われ、歴史家は「建国以来、戦乱の絶えなかった王国にはじめて平和と秩序をもたらした名君」と評価しているが、500年後にめざめた王は数奇な人生について語り始めた。
「あの子は聖女ではないよ。私はジャンヌを聖女とは認めない。絶対に」
歴史に残された記述と、筆者が受け継いだ記憶をもとに脚色したフィクションです。

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